中秋の名月

起きて、掃除や洗濯。天気もいまいちでだらりと過ごす。
夜からたまきとなかじょーが遊びに来たので、みんなで近所の韓国料理屋に飲みに行く。ずぶずぶと飲んでいたら、店も変えないままに6時間がたち午前3時になっていた。下ねたを大声で話してげらげら笑っていたら、女子としての心得を諭される。
店を出てからもなんだか楽しくて家に帰りたくなくて、上野公園まで4人で散歩した。ホームレスゾーンを抜けて、忍ばず池沿いの草原にごろんとして、ああもう涼しいねなんて言い合う。いつの間に雲が晴れたのかちょうど真上には満月が浮かんでいて、池の水面を照らしていた。頬はすこしあつくて、腕はつめたくて、首筋は芝でちくちくとした。寝転んだままで、誰かが吸っていた煙草のけむり。
何か楽しいときや琴線に触れるような出来事があったとき、ああもうこの感じは二度となくていつかきっと忘れちゃうんだな、たとえ思い出しても、それはもうあの匂いや感触なんてとっくに消え失せた絵に描いた餅のような記憶なんだな、と思うと、いつも時間が流れるのが哀しくて泣きたくなる。それでも、今いっしょにいる人たちにはまたすぐに会えるんだからって思い直す。だけど本当はいつだって別れは気づかないうちにやってきて、しばらく経ってからあれが最後だったんだって気づくんだ。